2017/12/16 農業用水に関連する学習会しました

6月の総会で今年のテーマとして「農業分野に注目して農林業における水利用について研究する」という事をあげています。具体的に、ではどうするのか、とノーアイデア状態で半年経過しましたが、12/16に最初の一歩の学習会を開催しました。

まず、当協議会の竹尾理事から「農業用水路における小水力発電の現状と将来」のレクチャーがありました。

農業に使うための水について「ダム」と「水路」に分けて、ダム知識から入りました。

農業用水を使う時の特有の仕組み「従属発電」については、登録制度に変わって「簡単になった」にはなったが、国交省のPRとは違う現実が実際にある事が紹介されました。

しかし、農業用水利権を取得し管理された用水路では、詳細な流量を一から調査する必要がないので、水量調査の負担軽減はあることは確かです。しかし、農業用水特有の「かんがい期」「非かんがい期」での水量変化に対して、水力発電をする場合での難問解決には、水車の選択、設置の仕方、取水導水の工夫改善など、まだ検討の余地があるように見受けられました。

また「非かんがい期」での発電用水利権取得の手続きや、土地改良区が発電を希望する事業者に発電用水利権を「貸す」という場合はどうなのか、などの説明もありました。

日本各地で展開している農業用水を使っての実例も紹介されました。日本の平野に網の目のように張り巡らされたぼう大な農業用水路ですから、もっと爆発的に設置が増えても良いようなものですが、農業ダムやトン単位の水量を利用した100kW以上の事例を除くと、どこにでもあるような用水路ではやはり設置が難しいのだろうか、という印象でした。

次に、実際に滋賀県で設置実務を担当された会員の増田さん(㈱滋賀ポンプ)から、長浜市での設置事例について発表がありました。

お仕事としてずっと滋賀県内の水を扱ってきた増田さんですが、小水力発電は初めてということで、昨年の流量観測体験会を機に、当協議会に入会されました。

「年間を通して水を止めることができない」と言う厳しい条件の中、長浜市の高時川中央幹線に2ヶ所に設置されました。

「落差1mでも発電可能」というところで、今回設置した「オープン型クロスフロー水車」における、有効落差とはどこからどこまでをさすのか、という議論が参加者からありました。

住民の生活エリアと近い場所での発電所は、騒音の問題や、土地利用が難しく、特殊な設備や工法を用いなくてはいけないなど、大変参考になる事例発表でした。

滋賀県は琵琶湖と水田地帯の水位差を調整するためポンプが多用される状態があります。そのコスト負担は少なくなく、もし、小水力発電での売電収益からこうした負担軽減が図られたら農村振興に役立てるのでは、と今後も小水力発電について増田さんも私達も一緒に勉強していきたいと話し合いました。

最後に、昨年10月にNPO法人「小水力発電をミャンマーに」のメンバーと一緒にミャンマーを訪問した現地体験談を、竹尾さんから報告いただきました。

都会のネピドー、マンダレーから遠く離れた山岳地帯まで足を延ばし、無電化地帯での小水力発電の実情をご紹介いただきました。(よくぞご無事で帰国されました)と大変な現地を想像しました。

2017年の協議会イベントはこの学習会が最終でした。

京都市では今年が「明治150年」などの記念イベントがたくさんありますが、明治24年(1891)に事業用として水力発電を始めたのが蹴上発電所でした。「琵琶湖疏水」のどこかで新たな水力発電はできないものか、と昨年の3月に疏水関連の学習会をしましたが、今年は、<びわ湖シリーズ2回目>として、2月に「びわ湖疏水ブラ歩き」を企画しております。

もっとびわ湖疏水のことを知りましょうと、野外に出ての学習会です。詳細はまた会員の皆さん、一般の方にもご案内しますのでぜひ、ご参加ください。

「京都盆地の中で水が南から北に向かっている場所が2ヶ所あります。さて、それはどこ?」というクイズの答えを探して、「疏水ブラ歩き」を体験してみませんか。

今年も関西広域小水力利用推進協議会をよろしくお願いします。(文責:吉田、里中)

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA