6月8日(土)午後、第8回総会を開催します

来る6/8(土)に通常総会と小水力発電に関する話題をご披露する会を催します。

どなたでも参加できますので、ぜひ、ご参集ください。

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<総会と小水力現場からの声>

~高知から110kWと100Wの話題

~奈良県下北山村更新事業

~“水循環基本法”の問題点 他

○2019年 6月 8日(土)午後1時半~5時

○場所:京都市中京区 四条通り西洞院西北角

京染会館(フレスコの西隣)  6階  会議室 http://www.kyozomekai.or.jp/access/

○参加費無料(総会だけ会員対象、一般の方は傍聴)

◆13:30~ 開会 第8回通常総会

◆14:40~16:10

○「ただ今、建設中! 高知県三原村芳井堰

~住民主体の小水力発電はどうあるべきか?」

話題提供:NPO法人いきいきみはら会 増井三郎さん

○「大事にしたい、100W発電~5.5リットル/10mの挑戦」

話題提供:平井政志さん(合同会社クールアイランド、関西協議会会員)

(休憩)

◆16:20~16:50

○「下北山村営小又川発電所更新事業について」

話題提供:伊東真吾さん(㈱コープエナジーなら、協議会運営委員)

○「“水循環基本法”施行満5年を前に、何が問題なのか?論点整理」

話題提供:宮本博司さん(協議会運営委員)

2019年京都総会、チラシ

常時100Wへのトライ~貴船川と比良川での小型水車設置実験(2019/03/03+03/19)

2014年頃以後、手造りレベルでハブダイナモを使う小型水車(4W以下)までは出来ていたのですが、100W以上の発電を常時維持するというステージに行くのが悩みでした。関西協議会と交流のある岐阜協議会の野村典博さんが「自然エネルギー学校」を通して、地域住民の人達と、一から学ぶ小水力講座のような取り組みを2011年から始めています。これまで3年計画で順次、郡上市、大垣市で実践を重ねてきました。その中で、採用されていたのが、当協議会会員で高知県在住の平井政志さんの会社が販売している「Cstream-1」というターゴ水車です。
クールアイランド 平井さんブログ
http://cool-island.com/?page_id=39

この2年ほど、京都市の支援を得てエコロジーセンターさんとエコ学区からの要望を受ける場面が増えていますが、ハブダイナモ(自家消費)以上の出力で常時自家消費できる機器が求められてきました。野村さんからのアドバイスで今回、平井さんのターゴ水車を実際に設置してみることになり、3/3=貴船川、3/19=比良川での設置実験に至りました。

ターゴ水車カタログ0003(平井)

果たしてカタログ通りの性能を出してくれるだろうか、野村さんのおっしゃるように実用面や耐久性で課題はないだろうか、と平井さんにご無理を言って短期レンタルしてもらい、京都で設置実験をすることになりました。

3/3、当協議会の運営委員である山本さんは京都市左京区鞍馬にお住まいなので、知人で鞍馬川そばで旅館を経営されている方に協力をお願いしてくれました。貴船川は夏になると納涼床床が、奥ノ院下流あたりから設置される観光スポットですが、床が設置されるまではその知人の方が管理するエリアなら実験ができそうだという事で、準備しました。(貴船川のこのエリアは一級河川でしたので、京都府土木事務所に一時占有許可をもらいました)

取水には苦労しました。岩場の間に、取水ホースが入るだけの穴を開けたみかんケースを準備して、なるべく周囲の環境をいじらないようにしました。

 

導水管には配管パイプを使うのが本来ですが、仮実験のために長い配管を用意することが出来なかったので、巻き取れる=保管場所に困らない消防ホースを使いました。なので、なおさらホースに水を入れる(呑みこんでくれる)事が難しかったです。

ヘッドタンクもなく、水圧をかけることができない状態で、何とか下流へ導水するまでにみんな、懸命でした。最終的に下流側の水車発電機に水は通りましたけど、ヘッドタンクが無いので、ホースに水が溜まった分だけ、水車が動く=間欠泉のように発電する、という状態でした。

瞬間的ではありましたが、この条件で発電した事は確認できました。当日は、岐阜から野村さん、元伏見工業高校の足立先生、エコセンの方などのご協力をいただき、南川会長、監査役の奥村さんもサポートしていただきました。

 

ターゴの羽根に当たるノズルが、大・中・小とあり、水量に合わせて取り換えがでます。今回は一番、少ない=先が細いのを使いました。写真は、その取り換えをしているところです。当日は雨模様でしたけど、皆さんのお陰で何とか平井さんターゴ水車の仕組みや、取水の難しさなど、現場体験することができました。

 

たったこれだけの事ですが、水力発電というのは、実験場所が大変なことを痛感しました。今回は貴船川でご協力いただける方がおられたので、場所を借りることが出来ましたが、十分な発電ができる条件の場所探しにも関連しますが、「小水力発電ができる場所」そのものを、イメージするのが難しい、ここなら出来るかもとなかなか気づけないという点が課題に残りました。

 

 

貴船川実験が終わって、平井さんに水車をお返しするまでまだ日にちがあったので、もう一度、やってみようとあちこちに声をかけたところ、滋賀県大津市から青木豊明さんから連絡がありました。

青木さん個人HP 湖西環境ギャラリー
https://kosei-toyo317.jimdofree.com/

青木さんは元びわこ成蹊スポーツ大学の先生で、2006年から比良山のふもとで小水力発電設置をされている方です。(私は2012年2月にスポーツ大学で初めてお目にかかりました) その場所が今も健全に残っているということで、青木先生とお知り合いのFさんにもご協力をいただき、3/19に2回目の挑戦となりました。

もともと比良山に登るリフトがあった場所ですが、今は廃業しています。立派な水車小屋があり、今でも中にペルトン水車に導水されていて、いつでも発電できる状態だそうです。

ただ、具体的な電気の使い道が無いので、水車小屋の中に負荷の白熱球がありました。

取水口は上流で確保されている状態で、導水管が水車小屋まで完備している好条件です。青木先生の水車スペックは、「落差30m,水量2L/s,定格発電300W」「パイプはポリエチレン50/60mm」という事でしたが、平井さんターゴの入口弁の口径が40mmなので、それに合わせる異径ジョイントを準備する必要がありました。

30mの落差の水圧というのがかなりのものです。本当の発電所なら、水車建屋に入る直前に入る場所でアンカーブロックで配管を固定させる必要がある箇所ですが、そこは臨時の実験なので、木材でクイを打って、配管を針金が巻いて固定しました。

水車羽根に水を当てる角度などの微調整をすることがなかなか難しく、入口弁のつなぎ目がゆるい状態を解消されなくて、水がすき間から噴き出す状態でしたが、何とか、連続発電することができました。

負荷のLEDライトが点灯してます

 

 

 

 

 

 

 

 

青木先生が設置している取水口、とても簡単なように見えてノウハウがあるかも?

 

 

最後に取水場所まで歩き、どんな取り方をしているのか見てみたのですが、意外に簡単な仕組みでした。浸透取水の一種だと思いますが、実際にもっと接近して見ないと、どうなっているのか仕組みが分かりませんでした。

 

 

青木先生の設置条件が、落差30m、水量2Lです。平井さんの水車が一番うまく機能するのは、2~3Lで、落差16~22mです。野村さんは「10m、5.5Lの条件なら場所を探せる可能性が高いのではないか」との事なので、京都市内のみならず、この条件で常設できる(常時、負荷を必要とする)場所を、今後、探してみようと思います。

6/8の総会では、いきいき三原会の増井理事長とともに、このターゴ水車を販売している平井さんが、総会で話題提供をしてくれます。タイトルは「大事にしたい、100W発電~5.5リットル/10mの挑戦」です。

FITで売電して地域に収益を還元したい、という規模にいくには、50kW規模程度が出来るまでの条件が整わないと採算がとれないだろうというのが、現状で、それもかなりハードルがあるのが現実です。売電を目指す小水力もあり、しかし同時に、こうして100Wをどう身近かなところで、自家消費していく小水力もあり、という事をこれからも大切にしていきたいと思います。              文責:事務局里中

 

 

 

 

2019/02/23-24 洲本市域学連携事業<洲本市×6大学連携シンポジウム>に行ってきました

関西小水力協議会は2012年9月に出来ましたが、その年の初め頃から小水力に関心のある人達との出会いが少しずつできていました。その流れは設立後も続き、現在も「小水力ってどんなもの?」と思う人達とのつながりを大切にしています。

洲本市、龍谷大学との出会いは、その第一歩と言っていいほど、今に至るまで続く感慨あるものです。

2012年11月に龍谷大学で「再生可能エネルギー塾」という講座が開かれ、そこで出会ったのが、洲本市役所職員の高橋さんでした。高橋さん以外にも、この場からご縁ができた人達がたくさんいますが、今回はそれから7年経過した中で、洲本市さんが6つの大学との連携事業により、大きな成果をあげてきた経過の集大成として「洲本市×6大学連携シンポジウム」を開催されたので、参加してきました。

洲本市文化体育館 文かホールのロビー

23日、三宮から高速バスに乗り、もう行き慣れたという感じの洲本市へ。市役所庁舎が改築されたはずですが、そこは見れないままに、「文化体育館文化ホール」の会場へ。すでに、パネル展示が展開されていて、大学ごとに参加された学生さんが、展示内容を説明していました。

 

 

プログラムの最初は「地域住民×大学生のしゃべり場~なぜ今、ワカモノが洲本市に集うのか」と、11人の方が、趣向を凝らした<しゃべり場>に丸く集まって談義開始。

しゃべり場に集う、学生さんと地域のみなさん

「地域と大学との連携」と言葉にするのは簡単ですが、まず、市内のどこの地区がそうした取り組みに参加してくれるのか、地域住民のニーズが無いと成立しません。洲本市の場合、そこへの働きかけと掘り起しがしっかりしていたのでしょう、4地区の住民の皆さんが大学との活動を交流をスタートしていきました。

基調講演「地域が大学と連携することの価値」牧新太郎氏

しゃべり場で洲本のどの地区の人達が、どの大学とどんな事をしてきたのかを、ざっくり見せてもらった後に、基調講演がありました。

講師の牧新太郎さんは、総務省の地域力創造アドバイザーで、市町村アカデミー副学長ですので、最適なテーマをお話しくださり、二人目の馬袋真紀さんも、朝来市でトライしている人材育成や移住プロジェクトについてプレゼンがありました。

左から、白石さん、竹内さん、牧さん、馬袋さん

お二人の基調講演が終わり、洲本市長の竹内通弘さんやしゃべり場に登場した人達とでシンポジウム。

コーディネイターは、大学との連携の根幹を構成している龍谷大学の白石克孝先生(政策学部政策学科教授)です。

 

今回のしゃべり場でも、シンポジウムでも、スクリーンに発言者の言葉の要約を写し出すのが、とてもユニークでした。それは舞台での発言を聞きながら、下の客席でパソコンをパチバチ打っている人が居るからで、その方がこれまでの取り組みや発言者の顔や気心が全部、分かっているかだろうな、と憶測しました。ろうあ者のためのOHP要約筆記でこうした様子は見たことがありますが、要約の仕方がより気さくで、分かりやすく楽しめました。

想定外の漢字変換に笑いがもれる場面もありましたが、・・・でも、キィ入力している人は大変なんですよ。

 

 

 

 

初日23日の午後プログラムが無事終わって、夕方から会場近くのギャラリー施設の部屋で、参加者交流会がありました。

写真に写っているのは、当日、特別のしつらえでテーブルを大きなお皿に見立てて、洲本産の食材で用意してくれたオードブルで、美味しかったです。

写真中央、マイクを持っているのが、先ほどご紹介した、スクリーン要約入力をしていた、洲本市役所職員の高橋さんです。2012年秋に出会って以後、洲本市で再生可能エネルギー、域学連携を言えば「高橋さん」の名前がすぐ出てくるほど、関西小水力協議会とも親しくしていただいている方です。ギャラリーという不思議な空間で、珍しいお料理と、なつかしい洲本の人達とひと時を過ごしました。

翌日2/24は、域学を実際行っている現場を回るエクスカーション。2012年の秋、龍大で出会った頃、洲本市千草竹原地区という場所で小水力発電が出来ないだろうか、という高橋さん、地域住民の方との熱意で何度か訪問した場所が、今、どんな風になっているのか、楽しみに訪問しました。

ここは、龍谷大学と九州大学が支援している場所で、小さなペルトン水車で発電しています。水量と落差も小さいので安定した発電を維持するのが難しい様子でしたが、地元のベンチャー企業の協力もあって、3kWhのリチウムイオンバッテリーに充電してから、直流で100mの距離をLEDで足元灯をともしたり、防犯カメラの電源にも活用しているとの事です。

できればもう少し、安定性と扱いやすさを希望されていて、あとひと工夫のために、更なる改善する意欲を竹原地区の方達が持っている事、その気持ちが素晴らしいと感じました。

 

次に見たのは、洲本市ご自慢の「龍谷フロートソーラーパーク洲本」です。

満水面積4.8haあるため池に、6300枚のパネルを浮かべたフロート式太陽光発電です。事業主体は「PS洲本㈱」、総事業費7億円、出力1500kW、年間発電量207万kWhで、施工してから2年目に入ってますが、台風被害もなく順調に稼働し、今年から収益の中から、地域活性化事業に寄付することができるという事でした。

 

「龍谷フロート」の方は2017年9月竣工ですが、その少し前に稼働し始めたのが「塔下新池ため池ソーラー」です。

 

こちらは規模が少し小さい(50kW)のですが、ここで得た知識、知見が次のプロジェクトに活かされているようでした。

ともに事業主体であるPS洲本㈱が、売電利益を洲本市と協議しながら、市内の活性化策などに活用することとしています。大学の関与がなければ、地域の資産であるため池から生まれる収益を、地域還元するという事業スキームが、そうそう簡単に出来るようにも思えず、ここまでもってきた、洲本市と龍谷大学、地域住民、信託会社、地元信用金庫とのおりあいのつけ方に、さぞ、関係者は苦労したのだろうと思いました。

 

 

最後に、「ついどはん」という古民家再生プロジェクトを見学しました。築100年を超え、約30年間、空家として放置されてきた古民家を、京都工芸繊維大学の学生さん達が、調査から始め、敷地の良さ、古民家の持つ味わいを活かし、今後も多様な使い方を考慮し、長く活用されるようにリノベーションしたものです。

 

 

「第4回再築大賞、林野庁長官賞」を受賞しただけあって、建物内部も細部も、以前の良さと活かしつつ、現代生活の利便性も取り入れてありました。

 

 

「ついどはん」が完成した後も、米田邸再建や、廃校リノベーションなど、今も取組みが続いています。

 

古いものを新しく再利用する方が、壊すよりもコストも手間もかかります。手をかけた分、昔の人の知恵を知る事ができたりしますが、何よりも、若い人達が現代の技術と知識を持って、新しい発想で古きものを生き返らせることを楽しんでいる姿に、勇気をもらいました。

改装された室内では、他地区の域学プロジェクト会議が開かれていました。

宿泊も可能な古民家にしたい、高校生と淡路島の料理人がウデをふるう食堂もやってみたい、障がい者の方達が働く就労支援作業室にしたり、など、夢がふくらむばかりです。未来への夢を実現するにも、人の熱意を思いを叶えるためにも、再生可能エネルギーから生まれる収益が、健全に地域活性化に貢献する姿を、洲本市がいち早く見せていくことを、これからも期待しながら、見守っていきたいと思います。

関西エリアにおいても、あちこちの市町村が再生可能エネルギーを活かした、街づくりにまい進しています。洲本市は、淡路島の中央に位置し、温暖な気候と近畿と四国を結ぶ流通の要所でもあります。風力発電、太陽光発電に向いていて、残念ながら小水力発電は、水量と落差の条件が見合わないので、事業用では難しいかも知れませんが、竹原地区のように「売るのではない、自分らで使う」という規模なら可能性はあるでしょう。

淡路島全体で、エネルギー自給率は約30%、食糧自給率は約120%と、条件に恵まれた場所ですが、それでも竹内洲本市長さんの言葉は、全国共通だと思います。

「島に住む人間というのは聞く耳を持たない面もある。でも、地域にやって来た若者達を、地区の皆さんらは、自分の子ども、孫だと思って迎えた。なぜなら、住民達は彼らに”本気”を感じたからだ。”本気”を感じたからこそ、地元は心を開いた。」

貴重な言葉だと思います。

洲本市では今後もこの勢いを止めることなく、もっと、もっと、と前に歩いていくでしょう。洲本での取り組みについて詳しく聞きたいと思う方は、洲本市役所の企画課政策調整係新エネ・域学連携担当へお問い合わせください。きっと、高橋さんが一発で、電話に出てくれるでしょう(笑)。                     文責:事務局里中