第7回小水力発電アイデアコンテスト(2018/3/25)~今回も魅力満載でした!

3月25日、石川県白山市を会場に開催された高専アイデアコンテストに、わくわくしながら行ってきました。

<前日の部>24日に出立し、白山市の中央を流れる手取川の上流部も観ておこうと、自由で旺盛な研修意欲にもえながら進みました。雪を頂く連山の中でも、白山は本当に白くて美しい。豊富な雪解け水を恵んでもらえる感じです。

堰堤はまだ残雪に覆われて、駐車スペースも積雪のままだったのですが、しばらく停まって手取ダムを遠望。

♪どこかで春が生まれてる~どこかで水が流れ出す~山の3月そよ風吹いて~♪

子どもの頃に歌ったのを思い出す ピッタリの情景でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コンテスト 現場見学の部>

今年は、前回に比べ参加校は5校に減りましたが、オブザーバー参加2団体。ポスター展示では、取組みの経過がまとめられて、参観者から応援メッセージを書き込めるように工夫されていました。

開催場所、鶴来

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポスター展示

 

 

 

 

 

 

 

開会行事が簡略に済んだ後、小型バスに分乗して、一番肝心の現地見学に出発!

【第1ポイント 胸かけ衝動水車】金沢工業高等専門学校は、砂防指定された月橋大谷川――――いやぁ ホンマの川でやってはる、すごい! という現場。

金沢高専 1

学生さんの説明によると、前に現地確認して以降、積雪と雪解け出水があり、昨日来て倒木や流石などが想定外で、胴長でも冷たい水に入って流水を調節した。先に見当をつけた位置に水車を2基設置し、エル字パイプで水を最適の箇所に当てるため、クレーンで宙釣りのものを水を受けながら調整するのが大変だったとのこと。これだけの苦労を実らせて発電できたら、グランプリ! という印象でした。

発電した電力は、a.土壌水分量計測に使い、土砂災害警報につなぐ。 b.白山開山1300年記念のジオラマ―――見学者にとっては少し近づき難い位置にあったのですが、学生さんは「何でも答えますから~」と一生懸命で、さわやかでした。

金沢高専 2

 

 

 

 

 

 

【第2ポイント 上掛け水車】富山高等専門学校の現場は、砂防工事が完璧に施工された河川で、まず、(失礼な表現でごめんなさい)水に関してなんら苦労のない所だなぁと思ってしまいました。

水車は単なる羽根でなく、小さなバケット状になっていて、水量が少なくても勢いよく回転するように工夫されていて、なるほど高専らしい発想と実力だな と感心しました。

富山高専 2

発電をした電力は、市の観光用貸自転車に充電に使用する。レンタサイクルステーションは川のそばの鶴来支所にあり、白山市の自然豊かな地域の観光アピールに、自然エネルギーの自転車で楽しみながら、一層自然への関心を高めてもらうことができる。なかなか解り易いものでした。

 

富山高専 1

 

 

 

 

 

 

【第3ポイント ラセン水車】デンソー試作部の現場は、富山高専のすぐ上流部で、歩いて行けるところです。

ラセンのピッチを変えることにより、よりよく水を受けて効率よく発電につなげる方法を研究し、万一故障した時にも、できるだけ簡便に修理できるよう工夫したこと。カバーをどのように設置すると、水勢を無駄なく利用できるか、研究したこと。ラセン水車の角度については、まだ途中段階であること など説明されました。私は、昨年オーストリアでラセン水車を観てきたことを思い出し、水車の直径や長さに関してはどのように検討されたのか質問したところ、それはしてないとのことでした。

 

デンソー試作部 1

私は、一望して落差が何か所もあり、現場に出入りしやすく、見学者からも見えやすいので、同じラセン水車で比較検討する場合、最もふさわしい場所ではないかと勝手に想像しました。桜が開花したころに、ぼんぼりを灯したりして、夜桜を楽しむのも風情があっていいのでは・・・

 

 

発電をした電力は、ボタンをおせば地域情報を伝える表示器「ひかるちゃん」に活用されます。

デンソー試作部 2

 

 

 

 

 

 

【第4ポイント 反転羽根式水車】福井工業高等専門学校の学生さんたちが待ち受けていたのは、県立高校グランド横の農業用水路で、水車の音がこぎみよく聞こえてくる現場でした。

福井高専 2

縦型の水車で、流れがあれば、落差がなくても置くだけで回転し、発電できる。その秘密は、8枚の可動する羽根で、反転させる軸をどこに付けるとよいか、難しそうな苦労話。また、ごみなどが巻き込まれた時に除去しやすくしておくため、手をいれて作業しやすいようによく考えられていました。水位を高くしてより多くの水を確保するため、2枚の板を両腕を広げたように付設。はめ込みが簡単で、水圧があっても容易に取り外しし易く工夫されていました。水車が流されてしまわないよう、ロープで結わえるというのは簡便な感じです。

発電した電力は、a.農家の方の省力化を図るため、周辺の水位や温度を計測し、在宅で分かるようにすること。b.蓄電をして、災害時の非常用電源に使用すれば、この高等学校が避難所になっている点でも有効だ とのことでした。

フェンス越しには部活動をしている高校生が沢山おられたので、防災の面でも、自然エネルギーという面でも、この高校生と福井高専との交流をされたのか聞いたところ、農家との話し合いで精一杯だったとのことでした。隣県とはいえ限られた時間の準備で大変だったことは推察できましたが、同世代の若者の交歓があったらもっとよかったかな と思いました。

福井高専 1

 

 

 

 

 

 

【第5ポイント 胸かけ水車】鳥羽商船高等専門学校は、用水路の中で青空のようなブルーの水車が目をひいていました。水車に水を均等に当てるため、水車と同幅の導水板を用い、想定以上の発電をしていると、満足気な説明でした。

鳥羽高専 1

発電した電力は、a.農家の作業負担になっている水量の見回りに寄与するため、田用水の入口と出口に水位計を設置し、WEBで農業者に知らせられるようにする。 b.農機具を使用後、泥を洗浄するのに農家の人は苦労しておられるので、水道蛇口のように立ち上げて、水を汲み上げるポンプに利用する。と、農業者との交流の深さが感じ取れました。

 

aを示す模型の田んぼで、朝は一旦うまくいったが、故障してしまって と残念そうでした。

鳥羽高専 2

 

 

 

 

 

 

【第6ポイント 可搬式並列2段上掛け水車】鈴鹿工業高等専門学校は、用水路での発電は、季節によって水車の撤収も考慮。水車を移動しやすいように、二つに分けた点が、いかにも手作り感があふれ、実用的。意外だったのは、川幅に対し真っ二つに分けるのではなく、水車の幅を大小に分けたこと。

鈴鹿高専 1

発電した電力は、水田や果樹農家を悩ます害虫対策として、誘蛾灯に利用する。

 

 

 

鈴鹿高専 2

 

誘蛾灯をどの高さにすれば虫が集まりやすいか、発電機の位置とも調整をしているとのこと、また、水車の回転軸をうけて、バケットを動かし、水を汲み上げて別の流れにするアイデアは、野菜栽培の水やりの省力化などとともに、遊園地の観覧車のようなおもしろさがありました。

 

【第7ポイント 下掛け水車】デンソー工業学園は、人家に近い用水路で、落差と杭状の出っ張りがもともとある場所を選択。水車が流されないように留めて置きやすくなっていました。水車は、うまく水を受けて、早く離すことがエネルギーを産むポイント。アルミ製の下掛け水車で、羽根に直接水を当てるための工夫を施したとの説明でしたが、素人には見えにくく、分かりにくいことでした。

デンソー学園 1

水量に合わせて、効率よく発電するために、変速自転車を活用してあり、手動で簡単に変速。「こんなふうに自転車を使うアイデアは、初めて!」と里中さん。

 

 

デンソー学園 2

 

発電した電気は、電光表示板に使われ、50mほど離れた所にある保育園の通園路なので、「卒園と入園おめでとう」と表示されていた。これなら、保護者の皆さんも喜んでくださるだろうし、関心も高まりそうです。子ども向けなら、絵文字もいいかな?

 

<コンテスト ステージ発表と表彰>

どの高専も、前6回のアイデアコンテストに挑戦したことを活かし、他校の実践に刺激を受けて、今回取組んだ水車つくりの説明や、農作業を少しでも省力化し、サポートするために取組んだことなどを、短時間でてきぱきと発表されました。

ディスカッション

金沢高専以外は、落差の少ない所でも発電できるように研究された点が共通しており、評点をつけるのは難しいなと思っていたのですが、休憩時間に、一票投じるチャンスが私らにもやってきました。

 

 

表彰式 1

表彰は、すべて鳥羽商船が一手に受けられ、おみごとと思う一方、「みんな頑張らはったのになあ」と、無念な気持ちも残りました。高専による小水力発電アイデアコンテストは、今回で終了するそうですが、これまでそれぞれの開催地で最も適した水車と発電機を自作し、近隣の産業や暮らしに活かす実践を若者の手で積み上げられたことが、さらに発展的に交流し合えたらいいのにと思いつつ、会場をでました。

表彰式 2

高専のみなさん、すばらしいアイデアを毎回たくさん見せていただいてありがとうございました。  (文責:澤田)

 

 

第7回総会(2018/5/19)~映画「ダムネーション」上映とトークもします

2012年9月に設立した関西広域小水力利用推進協議会も、今年で7回目の総会を迎えます。前半の総会は会員のみですが、後半の映画上映とトークにはどなたでも参加できますので、たくさんの皆さんのご参加をお待ちしています。

<総会と上映会/トークセッション>プログラム

○日程=5/19(土)13:30~17:00

○場所=京都市、しんらん交流館、大谷ホール

アクセス

◆ 13:30 開会 第7回通常総会
※ここまで会員対象の総会
◆ 14:40~15:40
○映画「ダムネーション」上映  
ダムネーーション
◆ 15:40~16:30

○トークセッション「聞いてみよう・話してみよう~ダムと小水力発電」

登壇者 宮本 博司(協議会運営委員・元国交省淀川河川事務所所長)
下村 委津子(  〃   ・NPO環境市民副代表理事)
※映画を観た後に、会場の皆さんを交えてダム、小水力のことをフリートークします

◆ 16:30~16:50
○「つくばね発電所」の報告
2017年8月に運転開始した奈良県東吉野村「つくばね発電所」について
森田康照社長から現状を報告いただきます

◆17:00閉会

◆17:20~1階レストラン「ホテルオークラ・オリゾンテ」にて交流懇親会
※どなたでも大歓迎! ひとまず、事務局にお問合せください

○連絡先:協議会オフィシャルメルアド
info@kansai-water.net
協議会電話=080-7051-5830(里中)

びわ湖疏水をブラ歩き、しました(2018/02/25)

「疏水で小水力できんかな?」と、昨年より継続している疏水学習会の2回目として、今年は実際に疏水を歩いてみましょう、という企画をしました。

当協議会員の板東利博さん(京都市左京区)が、疏水に詳しいという事で、ナビゲーターをお願いし、2/25(日)の午後、総勢17名で約3時間、ブラ歩きをしました。穏やかな天候に恵まれたとは言え、板東さんのレクチャー内容が豊富だったので、その都度資料を見ながら説明を聞き、質問をしていたら、時間が足りなくなって、最後の方はちょっと「ブラ歩き」より早歩きの様相でしたが、みんなで頑張って岡崎から蹴上、銀閣寺経由今出川通りまで歩きました。

疏水記念館の周囲からレクチャースタート、小学生のお子さんも参加してくれました
疏水記念館の中を見学、古い資料が並んでいて、明治時代の偉業に感心することしきり
蹴上発電所第1期時代のペルトン水車。ノズルの位置があってないから、仕組みが分かりにくいかも。

今回は、会員以外にも京都新聞と読売新聞、HPを見たという方が9名参加してくださり、小学生2年の男の子も飽きずに最後まで一緒に歩いてくれました。

 

 

 

第1グループは集合場所を、琵琶湖疏水記念館としました。館内には、3階に分けて展示室があり、明治時代の先人達がどんな苦労を乗り越えて、琵琶湖疏水を引いたのか、水運、水道事業、発電事業と展開していく中での資料がたくさん展示してあります。

じっくり見るだけで半日くらいかかりそうですが、詳しくは別の機会にということで第2グループが待つ、インクライン側へ移動しました。

蹴上発電所を背景に、インクラインの軌道で説明する板東さん

ここで全員集合。配布された資料を見ながら、板東さんの解説開始です。

背中に蹴上浄水場、みんなが見ているのは発電所への水圧鉄管
板東さん自作の「疏水資料」、これはスゴイです

 

現在の水圧鉄管は、第2期発電所へ落とす鉄管で、この写真の古い鉄管は、別の所から引いて、第1期発電所へ送水していた、と。

第一疏水は現在メンテ中で流れていません、右手に見える除塵ゲートは浄水場用

 

 

この写真を見て変だと思いませんか?

浄水場へ引水する水が無い。実は第二疏水のトンネル出口が左手にあるのだそうですが、第二疏水は水を止めてないので、トンネルの中に引水パイプがあるのだそうです。

 

古い写真、古い地図、古い絵画などなど、満載です

「本願寺水道」は、東本願寺大伽藍の屋根の上まで自然水圧で水を送っていたとの事です。

東本願寺で使う防災用水をここから取っていたという掲示板

若きフロンティア「田邉朔郎」像の前を通過します

第二疏水から”ナイアガラ”のように流れて岡崎公園へ

南禅寺「水路閣」までを水路沿いを、流速を感じながら歩きました

 

 

 

 

 

東山高校の南側、急斜面の水路は扇ダムからの流れ。(ここで小水力出来ない?)

永観堂から哲学の小道への途中にある。昔、ここにプールがあった!!と聞いてびっくり。

 

ひたすら哲学の小道を銀閣寺へ、皆さん、ちょっと お疲れ様気味?

敷石は廃止された市電の敷石。この下に松ヶ崎浄水場への直径1.7mの導水管が埋まっている。

 

疏水歩きのナゾの一つ、白川(南北)と疏水(東西)がクロスする箇所。どうやって?

白川が一級河川ということで、白川(この箇所は、川と言うよりほとんど水路ですが)が上、疏水がその下を潜ってる。

写真の手前で疏水の水を白川とクロスした向こう側に、サイフォンの理屈で、水は同じ高さまで上がる。・・・ふ~んと、分かったような分からないような、、、

しかし、建設当時は逆に、疏水が水路橋で白川の上を渡っていた。大正時代にはこのサイフォンになっているとの事です。

<後日、奥村さんからの追加情報=「伏越し」の理屈>

別紙琵琶湖疏水分線と白川の交差部についての考察

白川と疏水がクロスしている不思議なポイントですが、明治時代は「樋越」だったのを、近辺状況の変化で、「伏越し」になったそうです。

銀閣寺、今出川から志賀越道へ、ななめに歩きます

過去、松ヶ崎浄水場へ取水した形跡がある箇所、文献少なくて難儀なり

 

昭和3年に、松ヶ崎浄水場を造った時に取水していた形跡がある箇所まで来ました。

これが今回の最大のナゾ。いったいこれは何? 板東さんも分からない・・・

 

 

これは何でしょう・・・?

この中には直径1mの水圧鉄管があるらしい。

奥村さんの推理では、大水が出た時のバイパスがあって、その途中のコンクリート水槽(サージタンク)だろう、との事でした。

 

<後日、奥村さんからの追加コメントです>

「松ケ埼上水場取水地点にて「円形のコンクリートの塔」は高水時に迂回する流量を流すバイパス鉄管の水撃作用を緩和するため管の下端近く(放流近く)に設ける上方に開いた高いタンク(コンクリートや鋼管等)であります。(発電所のサージタンクの働きのようなもの)
なぜバイパスが必要になったのかですが。左岸側で松ヶ崎用水を取水するため取水口付近で一定の水深が必要なため、現在も残つていた堰を作り数枚の角落し(木製堰板)
で一定の水位は確保できるものの、出水時の堰上げによる流水に阻害を来すので、その分バイパス鉄管路で流水を迂回して流す役割を果たすものであります。」

参加者からこの野鳥の名前が出たのですが、書き留められなかったです、どなたかご存知ですか?

疏水の流れと歴史は本当に偉大で複雑でした、というのが実感です。びわ湖の水なしでは、京都の水道事業は成立しません。水運や電気こそ、疏水に依存するという時代は終わりましたが、びわ湖の恩恵を受けて明治時代、京都の街は新しい道を歩んできました。

かたや関西電力が蹴上発電所の見学を始めました、とても素晴らしいことだと思います。関西小水力協議会の皆さんも、ぜひ、蹴上発電所を見てきてください。148万都市のこんな街中で、この規模の水力発電所を見学できる場所は、京都以外にないと思います。

<水は低きに流れるもの>・・・この特性を小水力発電は活かしています。蹴上の第一疏水、第二疏水の出口の標高が銀閣寺より高いという事が、歩いてみてやっと分かりました。地図の上では不思議に思っていましたが、その高さがあるので疏水が京都市内を北上できるのです。

ナビゲーターを務めていただいた板東さんは、もっともっと話したい事がいっぱいあったと思いますが、3時間以上、しゃべり続けて、本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。

それで、最後の課題が残りました・・・「疏水で小水力、できんの?」

できるか、できないか、今年も続けて考えていきたいと思います。   (文責:里中)

 

「びわ湖疏水ブラ歩き」しませんか?(2018/2/25)

「疏水で小水力発電できないもんか?」と、昨年より少しずつ勉強をしております。
昨年3月は琵琶湖疏水記念館の学芸員の方をお呼びして、学習会をしました。
今年は、実際に疏水を歩いてみて、疏水のもたらした恵みと先人の知恵を思いながら、それでも、あれだけの水が京都市内を流れているのですから、何とかできんものかしらと、今後の検討の糧にしようと考えております。

関西協議会会員のみならず、一般の方もご参加を歓迎いたします。
申し込みは、前日までに事務局へお電話ください。

ちょっと寒い時期ですが、疏水ブラ歩き、一緒に歩いてみませんか。

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☆びわ湖疏水学習会・第2回目
「びわ湖ブラ歩き~疏水を知る⇒水の恵みを思う⇒水力発電できる?」

京都市内では「明治維新150年」イベントが始まっています。
びわ湖疏水が京都市にどれくらい恩恵をもたらしたか、寒さに負けず屋外に出て
実際に歩いて感じてみませんか?
疏水を知り、水の恵みと先人の偉業を感じ、水力発電にも思いをはせながら・・・。

☆2018年 2月 25日(日)

☆集合時間/場所
第①グループ13時=疏水記念館前
※記念館見学とインクライン・蹴上発電所横散策から参加する方

第②グループ14時=蹴上駅出口1(地下鉄東西線)
※ 疏水ブラ歩きから参加する方

☆終了予定時間=16時頃

☆参加費=資料代200円

☆歩くルート(予定)=①記念館~②蹴上~水路閣~南禅寺境内経由東山高校(扇ダム下)~若王子~哲学の道~銀閣寺~志賀越道

☆ナビゲーター
=板東利博さん(元教員、関西協議会会員)

※雨天決行、集合までに昼食を済ませてください。
※歩きやすい靴、暖かい服装、傘や飲み物などをご持参ください

☆申込=前日2/24までに下記にお電話ください

☆連絡先 TEL080-7051-5830 協議会事務局

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当日13時=記念館、あるいは、14時=蹴上駅と、2つの集合時間がありますので
ご注意ください。

※緊急連絡先は、協議会携帯電話です。

2017/12/16 農業用水に関連する学習会しました

6月の総会で今年のテーマとして「農業分野に注目して農林業における水利用について研究する」という事をあげています。具体的に、ではどうするのか、とノーアイデア状態で半年経過しましたが、12/16に最初の一歩の学習会を開催しました。

まず、当協議会の竹尾理事から「農業用水路における小水力発電の現状と将来」のレクチャーがありました。

農業に使うための水について「ダム」と「水路」に分けて、ダム知識から入りました。

農業用水を使う時の特有の仕組み「従属発電」については、登録制度に変わって「簡単になった」にはなったが、国交省のPRとは違う現実が実際にある事が紹介されました。

しかし、農業用水利権を取得し管理された用水路では、詳細な流量を一から調査する必要がないので、水量調査の負担軽減はあることは確かです。しかし、農業用水特有の「かんがい期」「非かんがい期」での水量変化に対して、水力発電をする場合での難問解決には、水車の選択、設置の仕方、取水導水の工夫改善など、まだ検討の余地があるように見受けられました。

また「非かんがい期」での発電用水利権取得の手続きや、土地改良区が発電を希望する事業者に発電用水利権を「貸す」という場合はどうなのか、などの説明もありました。

日本各地で展開している農業用水を使っての実例も紹介されました。日本の平野に網の目のように張り巡らされたぼう大な農業用水路ですから、もっと爆発的に設置が増えても良いようなものですが、農業ダムやトン単位の水量を利用した100kW以上の事例を除くと、どこにでもあるような用水路ではやはり設置が難しいのだろうか、という印象でした。

次に、実際に滋賀県で設置実務を担当された会員の増田さん(㈱滋賀ポンプ)から、長浜市での設置事例について発表がありました。

お仕事としてずっと滋賀県内の水を扱ってきた増田さんですが、小水力発電は初めてということで、昨年の流量観測体験会を機に、当協議会に入会されました。

「年間を通して水を止めることができない」と言う厳しい条件の中、長浜市の高時川中央幹線に2ヶ所に設置されました。

「落差1mでも発電可能」というところで、今回設置した「オープン型クロスフロー水車」における、有効落差とはどこからどこまでをさすのか、という議論が参加者からありました。

住民の生活エリアと近い場所での発電所は、騒音の問題や、土地利用が難しく、特殊な設備や工法を用いなくてはいけないなど、大変参考になる事例発表でした。

滋賀県は琵琶湖と水田地帯の水位差を調整するためポンプが多用される状態があります。そのコスト負担は少なくなく、もし、小水力発電での売電収益からこうした負担軽減が図られたら農村振興に役立てるのでは、と今後も小水力発電について増田さんも私達も一緒に勉強していきたいと話し合いました。

最後に、昨年10月にNPO法人「小水力発電をミャンマーに」のメンバーと一緒にミャンマーを訪問した現地体験談を、竹尾さんから報告いただきました。

都会のネピドー、マンダレーから遠く離れた山岳地帯まで足を延ばし、無電化地帯での小水力発電の実情をご紹介いただきました。(よくぞご無事で帰国されました)と大変な現地を想像しました。

2017年の協議会イベントはこの学習会が最終でした。

京都市では今年が「明治150年」などの記念イベントがたくさんありますが、明治24年(1891)に事業用として水力発電を始めたのが蹴上発電所でした。「琵琶湖疏水」のどこかで新たな水力発電はできないものか、と昨年の3月に疏水関連の学習会をしましたが、今年は、<びわ湖シリーズ2回目>として、2月に「びわ湖疏水ブラ歩き」を企画しております。

もっとびわ湖疏水のことを知りましょうと、野外に出ての学習会です。詳細はまた会員の皆さん、一般の方にもご案内しますのでぜひ、ご参加ください。

「京都盆地の中で水が南から北に向かっている場所が2ヶ所あります。さて、それはどこ?」というクイズの答えを探して、「疏水ブラ歩き」を体験してみませんか。

今年も関西広域小水力利用推進協議会をよろしくお願いします。(文責:吉田、里中)

 

 

 

2017年秋~冬、水巡りアルバム集

富山ツアー以後に参加したイベント、見学会などを写真アルバム形式お知らせします。

最初は10月26日に開催された天ケ瀬ダムのダムトンネル関連工事現場です。

2017/1026 宇治市天ケ瀬ダム周辺の工事現場見学

見学会の主催は「京都・オンブズ・パーソン委員会」
10月2週続けての台風、大雨で、最大級の放流状態
ダム湖から直接、下流へ流すトンネルの中間地点にある立て坑、あまりの巨大さに息をのむ
カニの手を延ばすかのような巨大な機械を使ってのトンネル工事現場
旧天ケ瀬発電所の建物は今も保存されている

 

 

 

 

 

現在の天ケ瀬発電所(関電)からの送電線、最初の鉄塔

2017/10/24~27、電力土木技術協会主催の水力研修会最終日、27日は夷川発電所と蹴上発電所を見学、発電所内部に展示されている夷川発電所由来のプレート

夷川発電所(関電)の取水近く。琵琶湖疏水が蹴上発電所に入り、その後岡崎エリアの堀を経て、鴨川に平行して南下する途中にある

 

 

 

 

 

夷川発電所の見学案内は関電の担当者から、低落差大水量タイプ、100万都市京都市街地に存在する貴重な存在

 

 

 

 

 

 

 

蹴上発電所も見学、第2期当時の発電所建屋は、趣きのある赤レンガ造り
縦軸フランシス水車、4500kW、明治からの発電は今も続いている

 

 

 

 

 

琵琶湖からの第一疏水を利用して明治24年(1891)から開始された蹴上発電所、導水レイアウトはほとんど変わってない

 

 

 

 

 

 

 

取水設備、除塵機など全部自動化、遠隔監視システム

2017/11/1-2、第3回小水力発電大会in東京、企業展に出展した会員の平井さん(合同会社クールアイランド)

企業展、全体の雰囲気
会員の岡山さん(WWS-JAPAN)のブース

 

経産省新エネルギー部長、杉山氏の基調講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特別講演、チェコの水車メーカーシンク社のPetr Konata氏の講演

2017/11/2~4、市民共同発電全国フォーラムin福島、初日、全体集会、2日目分科会、3日目は土湯温泉のバイナリー発電、小水力発電を見学

全国フォーラム全体集会のようす、各地からの参加者でいいっぱい

基調報告、高橋ゆかり氏(名古屋大学)
佐藤弥右衛門氏(会津電力㈱)
加藤勝一氏(㈱元気アップつちゆ)
各地での取り組み発表する、大阪の自然エネルギー市民の会、中村さん(運営委員)
各地取り組み発表、気候ネットワークの田浦さん(理事)
土湯温泉バイナリー発電所、見学コースの上からよく見えます
バイナリー発電の仕組みを説明するパネル、たくさんの質問に答える加藤さん
温泉熱を利用して、エビの養殖を実験中
見学コースには入ってなかった小水力発電所まで登ってみる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下にある発電所の内部をのぞけるようになっている

2017/11/11、兵庫県三木市、呑吐ダム見学会

農水省が管理する「農水用水」と神戸市などへの「水道用水」のために呑吐(どんど)ダム
管理事務所、ダムに関連する担当部局の皆さんで案内してくれました
家族連れの方も、ヘルメットをかぶって見学開始
小水力発電所の入口
水車メーカーは川崎重工、下流への農業用水の途中に設置
ダム湖を管理事務所指令室から見る

 

富山ツアー(2017/9/30~10/1)行ってきました

今年で第6回目となる「小水力発電を訪ねるツアー」ですが、今回は富山方面に参りました。総勢27名が京都駅に集合して、バス1台で1泊2日、好天に恵まれて今年も好評のうちに終えることができました。

協議会会員はもちろん、一般参加の方、小水力発電所は初めて見るという方もおられて見学先こそ厳選したので多くはありませんでしたが、充実した2日間でした。

行きのバスの中で、参加者が得意分野のレクチャー。いきなりの無茶ぶりでも皆さん、熱心に話してくださいました。

参加者の方4名から体験感想文をいただきましたので、ブログに掲載いたします。
ご協力の皆様方、ありがとうございました。

***********<第1日目、9/30、京都駅~五箇山集落、南砺市小瀬谷発電所へ>

(ここから、宍粟市から参加の野場さん)9月30日(土)、世界遺産である五箇山で休憩した後、富山県南砺市にある小瀬小水力発電所(160kW)を見学に行きました。この発電所は、地域の方が地域の重要建築物を守るために造られた住民主体の発電所ということで、非常に興味がありました。

世界遺産、五箇山集落の一つの合掌造り民家
小瀬谷発電所事業主の一人である地元酒蔵オーナーさんのお店、日本酒と地元のおみやげがたくさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは、取水地点を見学しました。ここではチロリアン取水という取水方式が採られ、漁業権がないため全量取水とのことですが、湧水が多いのか減水区間にも水が流れており、自然豊かな場所だと感じました。

 

 

 

 

 

チロリアン取水について私は詳しくありませんでしたが、現場を見てみると、砂防堰堤の越流部の河床にメッシュ状の網があり、そこから水を取るような取水方式でした。メッシュ状の網は落葉等を通さないので、取水と除塵を合わせて行えるのはメリットなのかなと思います。ちなみにチロリアン取水の名前の由来は、オーストリアのチロル州だそうです。チロル州は山岳地帯で落石などの影響で河川内の地形変化が多いらしく、この取水方式が採られているそうです。

 

 

 

 

 

次に、発電所建屋を見学しました。豪雪地帯特有の雪囲いが印象的で、上坂さんやツアー参加者の皆さんから、技術的な話も含めて色々なお話をお聞きすることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、小瀬発電所の管理をされている羽馬さんの自宅を訪ねました。

羽馬さんの自宅からは、パソコンやタブレットを通して取水地点や発電の様子を監視できるようになっており、自宅で一日中監視可能な点を考えると、羽馬さんは本当に好きでされているのだと感じました。現状は当初予定していた発電量よりも多くの発電をしているようで、ひと月に3~4件の視察依頼があるそうです。また、近い内に取水地点のゲートの遠隔操作をするための工事をするらしく、今後が楽しみです。

モニター画面を前に説明する羽馬さん、古い合掌造りの居間にはいろりがありました

小瀬小水力発電所のような住民主体の発電所は全国でもまだまだ少ないと思いますが、地域の水で地域を守るというコンセプトに魅力を感じますし、今後も全国でこういった発電所が増えていくのではないかと思います。

*****<第1日目9/30夜、富山県協議会の上坂会長のレクチャー富山協議会メンバーと交流しました

富山の小水力発電、全体のついてのレクチャー

 

富山県協議会事務局メンバーがお二人、交流してくれました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***********<第2日目、10/1、土遊野、常西公園>

(ここから、京都市から参加の松本さん)「自然と人を水車のように回す人がいた」

 バスの中で自己紹介が始まった。なんと多彩で有能な人たちの集まりなんだと感心する。そんなメンバーのツアー、好奇心だけで何ら知識がない私にとって贅沢な「仲間たち」だ。きっと収穫は多いだろうなとウキウキ。

今回のフィルドワークで、特に関心があったのが、「土遊野」だ。わずか1軒だけの「限界集落」で小水力発電が大活躍しているという。

小型バスが入れずマイクロバスに乗り換えてその「村」へ向かう。思ったよりは道幅はある。元気な笑顔で迎えてくれたのは、「土遊野農場」を営む橋本順子さんだ。

土遊野を語り出したら止まらない、すべてを伝えたい橋本さん。
橋本さんへインタビュー、スピーカーを持ってくれているのが上坂さん

敷地の奥のほうにある水車がたくましく回っている。まるで、彼女のパワーを映したように意気軒高と―見かけよりは発電量は少ないかもしれない。が、水しぶきをあげながら(これは水漏れしているから技術屋的には本当はよくないらしい)回る水車の姿は、静かなたたずまいの「寒村」に活気を醸し出している。それは、数字化されない心の充電と言えるのではないのか。

その水車の上方でもノズルから噴き出す水流を利用して羽が回り、それは水車よりはるかに多くの電力を生み出していた。そこでいったん働いた水がさらに水車でもうひと働きするという二重のシステムだ。これを考えたヤツは抜け目がないというかずるがしこいと思った。

ターゴ水車で1度発電した水を、上掛け水車に運んで、2度おいしい発電

 その二つの水車へは400メートル先の堰堤から塩ビ管を通って水が運ばれてくる。が、L字型に曲がっている箇所が2か所ほどあり、そこに水圧がかかるのだろう、1か所からは水が漏れていた。

 

 

 

時間がなくて取水口の堰堤へは行けなかったが、取水は、浸透取水方式というやつで、ヒダのある取水装置の上に砂利を被せるやり方で、常時ごみ取りをする必要がなく、電源開始から現在まで一度もごみによる目詰まりはないという。ここにも技術が光っていた。

 

母屋の隣にある建物にはパンを焼く窯があった。阪神大震災の時避難してきたパン職人の希望で電気窯にしたという。焼き立てのパンはそこにはなかったが、一度食してみたいと思った。震災避難者を受け入れ釜まで作るたった1軒の「限界集落」、「限界」っていったい何なんだろうか。

水車のさらに奥の敷地では家屋が新築されていた。聞くと、娘夫婦が住むという。なんでも、みんなでワイワイバーべキュウがしたいからとか??なんか楽しそうだ。

大活躍し、生活の弾みをつけている小水力発電。どうやらそれはただの偶然ではなさそうだ。都会生活の「限界」を感じ、草刈り十字軍の縁でこの家へ移住した橋本さん、自然巡回循環型の自給自足の生活を実践し、そのための自給電力を思考。それがあるからこその熱い思いを持つ小水力関係機関者との出会い。そして実証へ。

たった1軒となった「限界集落」が故の好条件は一つの成功の理由に数えられるのかもしれない。しかし、今回強く感じたのは、そうした条件を有効化し形にしていく「人」の存在だった。陽気でしたたかで優しさに満ちた「肝っ玉母さん」、彼女の存在がなければ、ここに水車は回っていなかった。

土遊野からの寄り道、小さならせん水車「ピコピカ」を上手に設置してました。一番身近かに発電できるかも、と皆さん、けっこう興奮ぎみ。

(ここから、京都市から参加の山下さん)今回、初めて小水力発電のツアーに参加させていただきました。小水力発電については、浅い知識しかなかったため、この2日間は勉強になることばかりでした。その中で私が魅力を感じたのは土遊野です。2日目の朝、富山県の土遊野という場所へ訪問させていただきました。

土遊野では、小水力発電とともに太陽光発電も行っており、エネルギー自立を目指す取り組みがされていました。そこで、私が興味をもったものは小水力発電システムの2段階構造です。まず、第1段目の発電では、水の勢いを利用した水車発電機であるターゴインパルス水車で、有効落差11.1m、流量20リットル/秒で約1kwの発電を行います。次に、第2段目の発電では位置エネルギーを利用した水車発電機である上掛け水車で、直径(落差)4m、流量20リットル/秒で、約400Wの発電を行います。水のエネルギーを違う形で、2段階利用しているということに驚きました。また、水車といっても様々な形があるということがわかりました。

上掛け水車
水車が発電した電気をここのバッテリーで貯めておきます

このツアーを通じで、小水力発電について学ぶことができただけでなく、エネルギー自立を目指す方々から貴重なお話をお聞きすることもでき、とても充実した2日間を過ごすことができました。

***********<第2日目10/1午後、富山市常西公園、常願寺川沿いへ>

(ここから、岡山県から参加の後藤さん)前日に見学した小瀬谷では、昔ながらの住民が主体となって160kWの小水力発電所を作り、その電気を売って合掌造りの集落を守っていこうとしていた。そして、午前中に見学した土遊野では、自然の恵みを活かして生活する住民が主体となって1.4kWの小水力発電を作り、その電気を使って自給自足の生活を営んでいた。

一方、今回最後に見学する小水力発電所は、地方自治体の富山市が主体となって作ったものだ。川にあるように見えるが、本流の常願寺川はもっと大きく、この小水力発電所は用水路にある。

常願寺川左岸から引き込んだ川としか思えない用水路のそばにある、大きな水車

上流側にある常西公園小水力発電所は、多くの人が水車と聞いてイメージしやすい、木製の水車がシンボルとなっている。水車の直径は6.5mで存在感がある。ただし、我々が見学した際にはちょうど電気機器側の故障中で停止していた。私の故郷の滋賀には琵琶湖の側に風力発電の風車があるが、もともと風の量が十分ではない場所なので十分には回っていない。そのせいで風車はモニュメントであり風力発電は役に立たないという勘違いが無意識的に自分を含め子供達の中に育っていたのではないかと思う。他方、常西公園小水力発電所は十分な水量のある場所に作られていて、復旧すれば水車は本来の姿を取り戻し止めどなく回りつづけることだろう。ダイナミックに回る水車が、それにより作られた電気でライトアップされている様子は、印象的な景色となり良い環境教育となるはずだ。

しかし、常西公園小水力発電所は9.9kWと小規模であり、採算を取ろうとして作られたものではない。それでは、結局水力発電は割に合わないのか気になる人もいるだろう。

そのような少し上級者向けには、すぐ下流側にある東町・東新町公民館小水力発電所がよいのかもしれない。

東町公民館発電所を説明いただいた富山市の担当の方

東町・東新町公民館小水力発電所は88kWであり、売電により十分に採算が取れるようになっている。(一般的に、大規模なほど割安になるという。)

 

 

水車の姿は建屋の中にあり普段は見えないが、見学では見せていただくことができた。水車は金属製であり、効率良く発電できるという。前日に見学した小瀬谷小水力発電所は比較的高落差で小流量のためフランシス水車だったが、東町・東新町公民館小水力発電所は低落差で大流量に適したカプラン水車だ。

富山平野はなだらかな傾斜が山側から海へずっと続いており、このような低落差の小水力発電所を何箇所も作ることが可能だという。豊富な水と地形に恵まれた富山は小水力発電の適地なのだ。

富山のような好条件がどこにでもあるわけではない。また、行政ではなく民間が事業をしようとすればもっと採算性を高めるなどする必要もあるだろう。しかし、このような好事例が存在するということを第一歩として、参考にできる点を取り入れて小水力発電事業を進めていくことが大切だと思う。

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今年も充実した小水力ツアーを終えることができました。2日間ずっとおつきあいいただいた富山協議会の上坂会長に、改めてお礼を申し上げます。遠くから参加された一般参加の方々、サポートいただいた会員の皆さん、どうもありがとうございました。

さて、来年は? これから皆さんのご要望を聞きながら考えていきます。最後に全員写真です。

 

 

 

 

(未掲載分)2017年3月26日、第6回小水力発電アイデアコンテストを見学(岐阜県高山市)

東海北陸地方にある、7つの高等専門学校、富山高等専門学校、金沢工業高等専門学校、福井工業高等専門学校、岐阜工業高等専門学校、豊田工業高等専門学校、鳥羽商船高等専門学校、鈴鹿工業高等専門学校と、開催地の高山工業高校、共催会社のデンソーのオープン参加、合計9カ所で、小水力発電アイデアコンテストが岐阜県高山市で、3月26日、丹生川地域を会場に開催されました。

このコンテストは高山市制80周年記念事業で、小水力発電にトライする若者達の創意あふれる取組みに圧倒されてきました。

当協議会は、第2回目開催のみなべ市以後、鯖江市、豊田市、南砺市と見学参加を重ねてまいりました。

農業用水をはじめ、水が美しく豊富な丹生川地域で、学生のみなさんは合宿し、地域住民の方と意見交換をし、どこに、どんな水車を設置するとよいか、また発電した電気をどのように地域に還元するか、話合い検討を進めたそうです。設計をし、原材料を組み立て、実際に流れの中で水車を作動させるまでに、冷たい水につかることもあったとか。いざ発電という段階でも試行錯誤が繰り返され、なかなかユニークな高専らしい調査・研究が行われていました。

文化ホールに、各校の研究経過がパネル1枚にまとめられており、見学の私たちは、バスに分乗して現場にむかいました。現場では、学校ごとに実演、発表されており、その素晴らしさを再現する能力がなくて申し訳ないのですが、その一端を9 カ所に分けてお伝えします。

<1カ所目、岐阜高専>

水路をせき止めて落差をつくり、縦軸型水車を設置。

出力20w(非公式)

積雪地域らしく、電気を屋根で活かして融雪装置にしてある。前日には模型の屋根にも積雪があって、うまく融けたということでした。

<2カ所目、オープン参加のDENSO(大会共催会社)>

水路は高い畔の上にあり、ホースをつかって落差を作りだす仕掛け。  出力12w

前日にホースを設置した時には雪の表面にあったものが、1日経って、水温と重みで、ホースが雪の中に食い込み、想定しただけの勢いをとれなかったと苦労談。クロスフロ―水車。電気は野生動物を感知する。

<3カ所目、福井高専>

人家に近い水路に水車を設置。 10倍速 出力7w発電した電気で、楽しい町にすることをめざし、温度・湿度・不快指数を表示できるようにアイデアを凝らしたそうだ。表示板正面の写真でなくてごめんなさい。

<4か所目 金沢工業>

続いて金沢高専の設置場所はすぐ近くて、先の印象がおさまらないうちに到着。

上掛け & チューブラ水車  50w

半密閉型上掛水車。発電した電気で、農作物のハウス管理をコントロールし、農家の省力化を図る。

<5カ所目 富山高専>

芍薬街道に面して設置されている立派な掲示板をライトアップさせるアイデア。少ない水量で、下掛水車の動きを早く回転させるのに、工夫したそうだ。 チェーン駆動50倍速 出力5w

<6カ所目 高山工業高校(現地開催地、特別参加)>

まずりっぱな木製水車に目をひかれた。釘が一本も使われていない。同校の建築インテリア科と電機科、機械科が共同して取り組んだそうだ。水位情報を知らせるのに、電気を活かせるよう、研究発表のためには、水位調整可能にするための金枠を併用し、実演された。

どこにでもよくある水路。私の近くに、すぐにでも設置したいような水車だ。

<7カ所目 豊田高専>

導水管を長い鉄橋のように楽しく支え、通りがかりの親子連れの方たちが見に来て、遊園地のような風景。豊田高専は、水車を上掛けと下掛け同時に回転させ、電気はぼんぼり照明と水位調整弁に活用する、創意がいっぱいだ。

<8カ所目 鳥羽商船高専>

比較的深い用水路に挑んだ鳥羽商船の現場。

水路の落差を利用して、水幅を狭め、半密閉上掛水車を回す。水車の位置を決め、固定するのに、苦労があったとか。電気は、ハウス栽培の自動水やりに使うアイデア。工業と農業のコラボだ。30・70・90倍の変速機装備 出力43w

(113w出して電装系から発煙したと言うのはここだったかな?)

<9ケ所目 鈴鹿高専>

可搬式2段上掛水車で、水流との関係から、当日現場で、水車を上下入れ替えて、発表に臨んだそうだ。電気は電光掲示板に活かす。上20倍速・下15倍速 出力40w

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8校と1事業所の合計9か所の現場見学を終え、午後は文化ホールで各校のプレゼンテーション発表が要領よくすすめられた。後半には、各校代表者のパネルディスカッションがあり、発表パネルを作成した後も試行錯誤や現地での変更もおこなわれ、最高の発電機と利活用の状態を造りだすための努力をはらわれたことがよくわかりました。表彰式後、講評の中で、「すばらしい発電アイデアなので、撤去せず、このまま現地に置いてほしい」といわれるくらい力作ぞろいでした。

水車そのものの写真など、公平に撮れてなくてごめんなさい。 (写真、文責:澤田)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鴨川で流量観測体験しました(2017年8月26日)

昨年は京都市、三条大橋下、みそそぎ川で流量観測の初歩をしました。

今年は、上賀茂神社より少し上流の一級河川鴨川で中級編の体験学習会をしました。

講師を務めていただいた奥村さん(当協議会監事役、技術士)との事前準備や当日の機材などサポートいただいた、賛助会員の(有)イー・セレクトさんが当日のレポートを書いてくれましたので、写真に添えて報告します。

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当日、早朝の雨で天気を心配する中、雨は降らずしかし晴天も少なく、8月にしては大変ありがたい観測日和の一日となりました。ご参加者頂いた方も19名と多数の参加がありました。

奥村先生には、初めての方でもわかりやすい基礎知識から始まり、今回は中級という事で少し高度な部分も組み入れての資料作りをして頂きました。

事前に講義の内容や、順序の検討をはじめ、測量方法もいろいろある為数値や単位を合わせたりと、説明頂く部分と当日の実測とが合致するように、何度も打合せをして頂きました。

そして少しでも参加者の方々にわかりやすくなるよう検討し、資料を何度も修正戴き感謝致します。

当日の講義では、流況曲線図の見方や、なぜ水位流量曲線図を作成しなければならないか等詳しい内容まで解りやすくご説明頂きました。

 

 

実際の測量では、多数の方に川に入って測量体験され、測水機器がどんなものかもご理解戴けたかと思います。

 

今回は時間もありませんでしたので簡易的な測量となりましたが、それでも浮子法での概算測量値と近い数値が出たのでどちらも正しいという事がわかりました。

流量観測0826 記録用紙

この勉強会では、基礎知識の確認から最終的には水車選定、経済性の概算までを教えて頂き今後に向けて役立つことになると思います。

 

文責:賛助会員、㈲イー・セレクト 児玉孝志

 

 

富山ツアー、9/30~10/1です

今年で6回目を迎える「小水力発電を訪ねる旅」は北陸富山方面です。
富山県は水力利用の古い歴史をもち、多くの発電所がある地域ですが、今回訪問するのは2016年に稼働を始めた「小瀬谷発電所」、住民主導の新しい地域発電所です。
昨年ツアーで好評でした石徹白のように、事業主体メンバーの方とじっくりお話しする時間をとりました。オーガニックファーム「土遊野」に設置された小水力は、独立電源として農家1軒分の電気を賄っています。常西公園では、違うタイプの2つの水車を見ます。
エリアは富山に絞ってますが、ユニークな見学先ばかりです。
小水力に関心のある方のご参加をお待ちしています。

○「第6回 小水力発電を訪ねる旅~小水力の本場・富山を巡る」

○2017年 9月30日(土)~ 10/1(日)

○9/30=08:30京都駅集合、10/1=18:30京都駅到着予定

○訪問先

★富山県南砺市、小瀬谷発電所(160kW・地域住民事業主体案件)

COOL COICE 記事「富山の未来を変える豊富な雪解け水の発電!」2017.3.27
http://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/tv/toyama_hatsuden/

※「小水力発電事例集2015」に掲載されてます

★富山市土地区、里山農業「土遊野」(小水力と太陽光で農家1軒を独立電源)      http://doyuuno.net/

※「季刊地域~特集いまこそ農村力発電」に掲載

★富山市、東町・東新町公民館小水力発電所、常西公園小水力発電所
>     http://www.city.toyama.toyama.jp/kankyobu/kankyoseisakuka/ondankataisakukikaku/toyamasi-jisedai_3.html

常西公園小水力発電所=開放型下掛水車、最大出力9.9kW

東町・東新町公民館小水力発電所=S型チューブラ水車、最大出力88kW

○宿泊先 ホテルグランテラス富山
〒930-0004 富山県富山市桜橋通り2-28
TEL : 076-431-2211
http://breezbay-group.com/m-toyama/

※和室=男女別・相部屋、シングルもあり(別途希望の場合は料金加算の可能性あり)

◎9/30夕食前に、富山県小水力協議会の上坂会長が富山の小水力発電について
40分ほど講演をしていただきます。

○最少催行人員:35名(この人数に達しない場合はツアー不成立の可能性あります)

○旅行費用=27,000円(1泊2日宿泊料、バス代、夕食1回・朝食1回・昼食2回含む)

○費用に含まれるもの
大型貸切バス関連、通行料、ドライバー関連費用全部
「土遊野」送迎用マイクロバス
宿泊費(夕食・和食で飲み放題付き・朝食付)
昼食代(2回)
資料代・手土産代・旅行手配料・添乗費用ほか雑費

※今回は「土遊野」まで大型バスが進入できないので、マイクロバスチャーターの
必要が出てきました、昨年より費用が少し上がっております、ご了承ください。

○添乗員:同行します

○第一次募集締切:8月31日(木)

○申し込み連絡先:(株)マイチケット(藤原さん)
fujiwara@myticket.jp

○ひとまず、お電話、メール、Faxでマイチケットさんに申し込みをお願いします
連絡先:(株)マイチケット
TEL 06-4869-3444
FAX 06-4869-5777
〒660-0084 尼崎市武庫川町4丁目27-1
◆メール  fujiwara@myticket.jp
◆HP    http://www.myticket.jp
◆Facebook https://www.facebook.com/myticket39
営業時間:平日10:00~18:30、土曜日10:00~15:00、日祝は休業

○呼びかけ:関西広域小水力利用推進協議会
〒600-8127 京都市下京区梅湊町83-1 京都市市民活動総合センター
メールボックス№31
FAX:075-371-0794(宮本)
TEL:080-7051-5830(里中)
E-mail info@kansai-water.net
HP   https://kansai-water.net/

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【修正版】2017小水力チラシ20170817