関西広域小水力利用推進協議会は「100kWも100Wも」と発電規模にはこだわらず、売電目的であっても、自家消費であっても、地域の人々や社会に役立つ水力利用を求めてきました。
ピコ水車については、自転車のハブダイナモを利用した手作りのようなものを、試験的に設置する事は、過去何度かやってきましたが、運営委員の平井さん(高知県在住、三原村「ふるさと発電所」管理者)が「Cstream-1」というシステムを開発しています。2019年春に、水車一式をお借りして協議会メンバーで、京都市内鞍馬と大津市内比良で、仮設実験した事もあり、性能や仕組みを確かめてきました。
その下地があって今回、池田市の佐々木さんから「どこかで出来ないだろうか」と相談があって以後、運営委員の平井さんと一樋さん(池田市在住)、理事の岡山さん、里中と、佐々木さんら池田市メンバーとで検討を重ねた結果、11/13-14のイベントでご紹介できるまでになりました。
以下、一樋さんの報告と写真(里中撮影)をミックスして、今回の取り組みを報告します。
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ひょんなきっかけからスタートした、大阪府池田市での小水力発電の設置について、簡単に報告させていただきます。
去る11月13日(土)〜14日(日)の2日間、大阪府池田市の廃校となった「旧細河小学校跡地」において、第2回BOTAFES(ボタフェス;ボタニカルフェスティバルの略、意味は植物由来とのことです。類語としてオーガニックがあるようです)が開催されました。
このフェスティバル会場で、小水力発電を使って、電動バイクを走らせようという取り組みでした。
当日は少し肌寒い一日でしたが天気にも恵まれ多くの人が参加されているようでした。
小水力発電の設置実演については、今年のGW明けに、池田市エコスタッフで活動されている佐々木さんから関西小水力事務局の里中さんに連絡が入り、たまたま地元在住の私のところに連絡が入るところからスタートしました。
当初はコロナ禍によりフェスティバル会場の関係で別の場所で開催される予定となり、そのすぐ後ろを流れる一級河川(猪名川)の支流となる「余野川」で発電できないか?あるいは周辺の農業水路など、発電場所の選定から小水力メンバーとの調査交流から始まりました。
しかし途中で当初通りの旧小学校跡地での開催ができることになり、発電機設置場所とその利用方法、あるいはフェスティバルのみでの設置から、恒常的に設置利用できる運びとなり、水量は少ないながら落差が若干取れ、かつ水利権や行政の管理主体の範囲などが比較的条件が揃うという恵まれた環境もあり、池田市のシンボルとなっている「五月山」の排水路の流れを利用しようということになりました。
ちょうど現在利用されていないお寺の横にあった、洗い場に水路に降りる階段や堰板を嵌め込める溝などが残っており、仮設置でありながら取り敢えずフェスティバルでの実演に利用することになりました。
この結果、発電量は当初計画の4割ほど(40W強)になりましたが、高知県の平井さん提案の発電機や導水管、取水口などを具体化することになりました。
今回の設置に関しては、池田市エコスタッフの佐々木さんの奮闘もあり、池田市の行政関係者(環境政策課、土木課等)の大きな協力もあり、公図や水利権の調査、導水管の設置などがスムーズに行うことが出来たと思います。
またフェスティバル当日は、多くの方に関心を持っていただき、2日間ほぼ終日現地で説明をする、という有難い活動をすることが出来ました。
ただ残念なことに、電動バイクの性能が非常に良く、一旦満充電すると丸一日補充電する必要がなく走行でき、折角発電しても、初日目の夜間にバイク用に充電しておくという勿体無い使用となってしまいました。
またバイク試乗会場と発電場所が少し離れていたために、バイクに試乗された方が全員発電機を見る、ということにはなりませんでした。
ただしその分、佐々木さん他の尽力で、設置計画の段階からの写真や説明文などが用意され、あるいは掲示されており、地元の人の驚きや、小学校関係者の方からの環境教育に利用したい、という声もあり当初の目的は十分果たせたのだろうと感じています。
また、関西小水協での事前宣伝もあり、兵庫県三田市や京都府福知山、淡路島洲本市などからも見学に来られていました。
地元のケーブルテレビでも取材されていました。
今後は取水口の本設置(さらに上流)と、独立電源として自家消費のため小学校跡地にある「配食センター」の電源として接続する計画で進めています。(最終的な完成目標は年度末を予定?です) (文責:一樋、写真:里中)