びわ湖疏水、観光舟試乗会(2021/3/26)

コロナの嵐が吹き荒れた2020年春から、1年を経過しても未だ感染終結のめどが立たない今年です。

関西広域小水力利用推進協議会はこの1年間、さしたる表立った活動も出来ずに低迷していましたが、昨年秋頃から京都市下水道局さんとのコンタクトのご縁で、びわ湖疏水船の試乗会に参加させていただきました。

びわ湖疏水船HP ※3/27-6/27まで

https://biwakososui.kyoto.travel/

今年は桜の開花が早くて、試乗させてもらった3/26は桜も菜の花もきれいでした。

下水道局さんからのお誘いで、協議会メンバー7名が大津市からの乗船コースに集合しました。「大津閘門(こうもん)」と呼ばれる地点で、周辺には桜を求める人達がそぞろ歩きしていました。

最初に事務所でビデオを拝見。びわ湖疏水に尽力した北垣国道(第三代京都府知事)がナビゲートするユニークな映像で疏水の歴史が分かりやすく解説されていました。

途中から登場する田邊朔郎氏は、もちろん疏水と水力発電には欠かせない人物。

現在、琵琶湖疏水記念館では、「旧幕臣『生身の人間』田邊朔郎の人生」展が開催されています。

琵琶湖疏水記念館HP

https://biwakososui-museum.city.kyoto.lg.jp/news/detail.php?s=149

北垣知事からナビゲーター役を引き継いだTomさんの軽妙な案内を先頭に、事務所を出ていよいよ船着き場へ移動。以後、順次の写真で蹴上までの道中を紹介します。

ナビゲーターの「Tomクルーズさん」、ノリノリでした
正面に見えるのが、第一トンネル入り口

コロナ対策ではありませんが、船の席位置は背中合わせ。小さな船ほど重心が不安定との事で「船長の指示に従って、急に動かないでください」との注意を受けました。

第一トンネルに突入

疏水の工事は1885年着工以後、一番困難を極めたのがこの第一トンネルです。

トンネルを入ってすぐ、Tomさんが「ずっと向こうに出口の明かりが見えますが、そこまでの距離、皆さん分かりますか?」、、、事前学習している人なら簡単な質問なのですが、こうして実際に船に乗って、トンネルの中を流れながら出口までの距離を目測するのは難しい事です。100m単位なのか、㎞なのか、普通の道路感覚とは全く違いました。

答えは「2436m」。乗船前の動画や配布されたパンフレットにも多種の記載、写真はあるのですが、当協議会監査役の奥村さんが自力で作成したリーフレットには、奥村さん独自の視点でリサーチした情報が詰まっていました。

左が奥村さん作成のリーフレット、右が「田邊朔郎展」のチラシ

パンフレット、チラシ案内の表紙。

当日、乗船時の外気気温は20℃あったと思うのですが、トンネルの中はさすがにひんやりしていて、寒いくらいでした。

長い第一トンネルを抜けるとそこは京都市山科区。急に風が温かくなり、いよいよ疏水の桜が見えてきました。

山科疏水で花見を楽しむ人達が手を振ってくれる

第三トンネル西出口、「美哉山河」(うるわしきかな さんが)三条実美の揮ごう

終点は蹴上船着き場。「旧御所水道ポンプ室」と呼ばれるように、大日山貯水池に水をくみ上げ、京都御所の防火用水を送水していたそうです。さすが明治時代の重厚感ある国指定登録有形文化財です。

観光コースの疏水船はここまでなのですが、当協議会の関心はやはり蹴上発電所や疏水での小水力発電の可能性に。会員のBさん他メンバーの足は、自然と蹴上発電所の取水口やペンストックへ。

最後は、TVでおなじみの水路閣がどこまで続いているのか確かめてみようなど、疏水オタク、小水力オタクならではの半日小旅行でした。

コロナ禍にあっても、感染防止と各自がルール厳守をしていけば、疏水観光船が継続して運行していける事が分かってきたので、今年の秋、紅葉の季節にも開催が予定されているようです。

桜満開を満喫し、疏水の歴史を体感し、お天気にも恵まれ、ご案内いただいた京都市上下水道局さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。            文責:里中