小水力発電を訪ねる旅~四国・徳島と愛媛を巡る(2019/9/28-29)

今年で8回目を数える「小水力発電を訪ねる旅~四国・徳島と愛媛を巡る」を9/28-29、終えてきました。台風の影響が心配されましたが、お陰さまで大きな雨にあうこともなく、参加者11名で無事、研修の旅を堪能しました。

今回の報告は、当協議会の賛助会員である(有)イー・セレクトさんの新入社員、中野月夜さんが書いてくれました。小水力発電を見るのは初めてという事だそうですが、たくさんの驚きと感動のひとコマをまとめてくれました、ありがとうございます。

今回の見学先である「小美野発電所」と「別子山発電所」は住友共同電力㈱の民間所有と言うことで、発電所内部写真は控えさせていただきました、ご了解ください。

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はじめに

今回の四国研修ツアーは、徳島県唯一の村である佐那河内(さなごうち)村が経営し、2015年9月に竣工された、低圧連系規模での小水力発電所としては先駆的である「新府能発電所」と「住友共同電力株式会社」が保有し、近隣集落へ配電線を持つ「別子山発電所」と「小美野発電所」を見学させていただきました。「低圧連系」と「地域配電」に注目しながら自然豊かな四国・徳島と愛媛の施設を巡らせていただきました。

9/28 (土) 1日目

出発

晴天の朝、京都駅のバス乗り場に集合し、バスで徳島県へと出発しました。和気あいあいとした雰囲気の中、バス内ではじめに南川会長から挨拶をいただき、参加者全員の自己紹介を行いました。様々な業種の方が参加されており、知識レベルは様々でしたが、皆さん小水力発電や再生可能エネルギーに強い関心を持っていらっしゃいました。京都から出発し明石海峡大橋と大鳴門橋を渡り、車窓から見える渦潮もそこそこに、マイクを回し意見交換を行ったり、第1回から第7回までの小水力発電ツアーを振り返ったりしました。

新府能発電所到着

最初に向かったのは、新府能発電所です。新府能発電所は佐那河内村が徳島県土地改良団体連合会に計画策定を委託し、旧府能発電所の復活を検討したものの、事業性が認められず、徳島県再生可能エネルギー協議会(産官学民で設立)の協力を得ながら、水車、導水管路、連系接続方法などを工夫して事業費を削減し、事業化した経緯がある施設です。今回はその施設のうち、旧府能発電所で使われていた上部水槽を活用しつつ改修したヘッドタンクと旧発電所の発電機を展示する資料館を見学させていただきました。

 

維持管理を担当されている徳島地域エネルギーの大下様と佐那河内村職員の岩野様から新府能発電所の全体の説明を行なっていただきました。

 

 

事業費削減に貢献~イタリア製水車

新府能発電所は小水量落差に対応したイタリアのIREM社のペルトン水車を採用していました。小さな規模での実績が少ない国内産水車に比べ安価で、現在まで故障したことはないそうです。

事業費削減に貢献~導水管路

水力発電機の更新に合わせて水圧管路に高密度ポリエチレン管を採用していました。高密度ポリエチレン管は鉄管よりも施工性・耐久性に優れています。また接続方法としてバット融着方式という弱点部を生じさせない接続方法をとったそうです。

旧施設を改修したヘッドタンクを見学

取水した水を何層にもわけ落ち葉などのゴミを取り除いていき、発電に使用できるようにしていきます。上部水槽に当たるヘッドタンクから水が流れ出ているにもかかわらず、水面の変化もなく発電していることに驚きました。また春先などはスギ花粉で水面がいっぱいになり、水位計に付着すると誤動作してしまうため、電極型水位計の掃除を行ったりしているそうです。

資料館

除塵と沈砂を兼ねた上部水槽(ヘッドタンク)を見学した後、資料館に移動し、更に府能発電所の理解を深めました。資料館内には大正時代の旧府能発電所の様子が分かる写真や当時の水車発電機の実物が置かれており、とても見応えがありました。

 

大正時代から活躍した発電施設が、地域の方の熱意で再び復活し令和の世でも動き続け、地域を支えている事に情熱とロマンを感じました。

 

旧府能発電所のペルトン水車と同期発電機

 

新府能発電所を出発し、愛媛県の別子銅山記念館に向かいました。移動のバスでも、かんかんがくがくと意見交換を行いました。

 

 

別子銅山記念館

別子銅山記念館では1690年に銅山が発見されてから1973年に閉山するまでの歴史を見事な展示施設の中で学びました。当時の住友の歴史や働く人々の暮らしや地質学の研究など様々な切り口の展示はとても興味深かったです。屋外には鉱山専用鉄道用にドイツから購入した第一号蒸気機関車なども見る事が出来ました。また、展示物だけでなく建物も大変見応えがありました。記念館は半地下のコンクリート建造物で、別子銅山守護神が祀られている大山積神社境内にあり、屋根は全面サツキに覆われており、別子銅山と自然あふれる山々をイメージでき大変荘厳な佇まいでした。満開になるのは5月なのでまたいつか満開の時にも行きたいと感じました。

 

 

 

 

 

明日向かう別子山発電所と小美野発電所にアクセスの良いオーベルジュ森のゆらぎに宿泊し、フランス料理のフルコースを食べ、2次会を行い1日目は終了いたしました。

オーベルジュ森のゆらぎ広場、藤のツルをはりめぐらした巨大なグリーンのオブジェ(いずれドーム型の日よけになる?)

 

 

 

 

 

 

9/29 (日) 2日目

2日目は、住友共同電力株式会社の職員お二人の方に2箇所の発電所施設内を見学させていただきました。小美野(こみの)発電所の見学を行う前に同社のご担当者から小美野発電所と別子山(べっしやま)発電所について説明を行っていただきました。また水力発電所だけではなく住友共同電力さんが取り組んでいる、バイオマス発電事業や太陽光発電など詳しく教えていただきました。

小美野発電所

小美野発電所は旧別子山村の森林組合から譲り受けた小水力発電であり、別子ダム下流の銅山川の水を取水して最大1,000kWの発電、メインは新居浜地区の住友関連の工場に送電していますが、近隣の集落へも配電しています。昨日、宿泊していたオーベルジュの電気も送電しているそうです。

住友共電さんが管理している電柱

 

 

 

 

 

 

別子山発電所

別子銅山発電所も旧別子山村の森林組合から譲り受けた小水力発電であり、分後谷川の水を取水し、最大71kWを発電しています。小美野発電所にも別子銅山発電所にも言える事なのですが、周囲の川の水や自然と調和してとても美しかったです。

 

 

住友共同電力のお二人とお別れして、最後に別子銅山をテーマにした観光施設に立ち寄りました。

 

マイントピア別子

別子銅山発電所を出発し、マイントピア別子に向かいました。マイントピア別子では自由行動をとり、私は砂金取りにチャレンジし、金を一粒取ることが出来ました。

マイントピアの向こうには、煉瓦造のレトロな建築遺構が見られます。当時東洋一の規模(落差約600m)といわれた旧端出場(はでば)発電所です。展示館としての整備が進められていて、壮大な電力開発の礎としての水力発電施設の開館が待たれます。
                                   文責:中野月夜((有)イー・セレクト)

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